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ピッグジャーナル7月号に紹介記事が掲載されました

記事抜粋 「浄化槽を増やさずに飼養頭数を倍増」

 読者の皆さんは、このタイトルを見て一見非常識なことと思いましたか?
 飼養頭数が倍増すれば、汚水処理施設もたい肥発酵施設も倍増させなければいけないのが常識です。しかし私の以前の勤務先農場では母豚400頭から700頭に、私のクライアン トでは、母豚100頭から180頭に増やしましたが、浄化槽は増設していません。排水量は大幅に増えているにも関わらずです。
 その秘密は、汚水の前処理にあります。優秀な前処理施設を追加することで、浄化槽へ流入するSSとBODの総量を増加させなければいいわけです。ただし、元々浄化槽の容量が不足気味の農場では水量の増加で、浄化槽の滞留時間が十分取れなければ容量アップも必要です。
 また、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が本格運用されてから8年が経過し、そのとき導入した汚水処理施設の処理能力が低下して困っている農場もあると思います。その場合も、この前処理システムが有効活用できます。
 私がお勧めしているのは「リセルバー水処理・脱水システム」と言います。これは、特許を取得している製法でつくられた植物性繊維質を汚水に添加して、そこに高分子凝集剤を添加して脱水機に掛ける方式です。絞るときは繊維質が水路となって高い脱水率 が得られます。ですから高分子凝集剤だけを使う通常の脱水設備よりもSS除去率、BOD除去率ともに飛躍的に向上します。とくにSS除去率は99%にも達するものです。特許をもっているメーカーは宮城県内の中小企業ですが、大手企業と提携した販売をしていないので、全国的には知名度が低いのが非常にもったいないことだと思っています。
 私は自分のクライアントに紹介したのですが、どの農場でも大変喜ばれています。その概要の一部を紹介します。
 山形県内の母豚300頭一貫経営農場では数年前に複合ラグーンを設置したのですが、豚舎の老朽化に伴ってふん尿分離が悪くなり、ラグーンが泡だらけのパンク状態になっていました。この農場では、振動篩とスクリュープレスで前処理を行っていましたが、振動篩を取り払い、その代わりにリセルバー添加装置を導入しました。その後約4ヶ月で複合ラグーンは正常な状態に戻りました。
 岩手県内の母豚180頭一貫経営の農場では、母豚を120頭から180頭に増頭したときにコンテナ離乳舎を8台導入しました。それ以前は、離乳子豚は離乳後約1ヶ月間分娩舎に置き、その後、子豚舎→肥育舎というフローで、いずれもふん尿分離豚舎でした。コンテナ離乳舎はふん尿混合豚舎ですから、浄化槽がパンクするのは火を見るよりも明らかな状況でした。
 この農場の既存施設は前処理が振動スクリーンのみで、第1沈殿槽と最終沈殿槽の汚泥のみを高分子凝集剤を添加して多重円盤式脱水機にかけていました。ここヘリセルバー添加装置を導入して、原水を全量脱水するシステムに改造しました。
 この農場の件では、特定施設の変更届けを提出するお手伝いもさせていただいたのですが、保健所の担当者も初めて見聞きする脱水設備なので、「なぜこんなに除去率が高いのかを説明してほしい」、「リセルバーの成分は何か」、「添加率の根拠は何か」とか、大量の質問をいただいて、非常にやりがいのある仕事をさせていただきました。この設備は畜産環境整備機構のリース対象機器にも認定されていますので、補助付リースも受けられます。 通常、増頭すれば浄化槽も増設が必要ですから、建設コストも莫大な金額になりますし、それに伴いブロワーの増設も必要で、消費電力も倍増します。しかし、この方式にすれば既存方式に比較して建設コストも消費電力も半分以下で済みます。この大きな節電効果も昨今の電力事情に大いに貢献するものです。もちろん、魔法の施設ではありませんので、浄化槽のpH、DO、MLSSなどの管理は通常と同じように必要で、過負荷になる場合は容量アップが当然必要になります。この母豚180頭に増頭した農場の例で見るとブロワーは11kwが2台で22 kwですが、既存方式で浄化槽を2倍にすればブロワーだけで22kw増加します。しかし今回増加した電気設備はリセルバー添加装置と混和槽攬絆機の合計0.6kwだけです。2.2kwの脱水機の稼働時間が1日1時間から8時間に増えましたので、合計で1日20.2kwhの増です。既存方式ですと1日約440 kwhの増になります。
 最後に、この脱水設備のもう1つの利点ですが、脱水ケ−キ(脱水機から出てくる固形分)の水分含有率が70%台まで落ちるので、このままたい積しているだけで発酵が進みます。ですからたい肥発酵施設へ投入しても負荷の増加になりません。

 熊谷 隆
 マックプランニング
 

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